
【独自取材】日本愛玩動物協会に聞く"適正飼養"の基本|これからペットを迎える人が最初に知っておきたいこと
「家族の一員」として暮らすペットが当たり前になった今、飼い主に求められる知識も大きく変わってきました。犬・猫・小動物・鳥・爬虫類など幅広い動物の正しい飼い方を体系的に学べる資格「愛玩動物飼養管理士」。その認定登録者は累計25万人を超え、一般の飼い主や学生から、仕事に活かしたい方まで幅広い層が学んでいます。
この資格を認定しているのが、設立から50年近くの歴史をもつ公益社団法人日本愛玩動物協会です。今回 petlife-navi 編集部は、同協会の竹田千寿(たけだ・ちず)氏に、「適正飼養」の基本から、これからペットを迎える人が最初に知っておきたいこと、シニア期のケア、資格取得のメリット、被災ペット支援の取り組みまで、じっくりお話を伺いました。
この記事でわかること
- 適正飼養の基本は「ケア」「食事」「環境」の3つ
- ペット選びは"自分のライフスタイルに合うかどうか"から
- シニア期は「観察」と「健康診断の回数を増やすこと」がカギ
- 情報過多の時代こそ、信頼できる最新情報をまとめて学ぶ価値がある
1. 協会について
Q. 設立から50年近く、ペットを取り巻く社会環境はどう変わりましたか?
協会が設立されたころは、犬は庭で番犬として飼われ、猫は家の外と中を自由に出入りできる飼い方が一般的でした。フィラリアなどの感染症予防や不妊去勢手術をしていない家庭も多く、感染症で命を落としてしまったり、気づいたら妊娠・出産していたり、散歩に出たまま帰ってこなかったりということもよくありました。人の残飯を食事として与えたために、その動物に合った栄養バランスの食事が摂れていないことも珍しくありませんでした。
近年、ペットは家族の一員としての地位を確立し、人と同じように室内で一緒に暮らし、お出かけに犬を連れて行く人も増えました。適切な飼育方法を学ぶ人が増え、定期的な健康診断やワクチン接種、不妊去勢手術も当たり前に。その動物に合った栄養バランスのフードを与えるのが当然になり、ペットフードの質や医療も向上した結果、長生きする犬や猫が増えました。
Q. 愛玩動物飼養管理士の受講者に、傾向の変化はありますか?
認定登録者数は累計25万人を超えました(2026年4月1日現在)。毎年およそ1万5千人の方に受講いただき、徐々に増えています。受講生の約半数は専門学校や高等学校などからのお申し込み、約半数は個人での一般受講です。
一般受講の方の年齢層は昔からあまり変わらず、30代から50代の女性がもっとも多い層です。動機は、以前は「自分が飼っているペットのために正しい知識を得たい」という方が中心でしたが、動物愛護管理法(動物の愛護及び管理に関する法律)の改正を受けて、「動物取扱業を開業するため」「ペット業界に転職するため」など、仕事に活かすために資格取得を目指す方も増えています。
2. 適正飼養について
Q. 飼い主が最低限知っておくべき「適正飼養」の知識を3つ挙げるとすれば?
飼い主が知っておくべきことはたくさんありますが、3つ挙げるなら「ケア」「食事」「環境」でしょうか。
動物ごとに必要なケア(歯磨きやブラッシング、散歩やしつけなど日々のお世話)、食事の内容や頻度、飼育環境はそれぞれ異なります。ご自身のペットに合ったケア・食事・環境を提供することが大切で、そのためには「自分のペットにはどんなケア・食事・環境が必要なのか」を飼い主自身が学ぶ必要があります。
適正飼養の3つの基本
- ケア:歯磨き・ブラッシング・散歩・しつけなど、その動物に必要な日々のお世話
- 食事:その動物に合った内容・頻度・栄養バランス
- 環境:習性や体に合った飼育環境
Q. 初めて犬・猫を飼う方に、最初にアドバイスすることは?
まずはご自分のライフスタイルに合った種類のペットを迎えることをアドバイスしています。たとえば共働きで自宅に誰もいない時間が長いご家庭なら、犬よりも猫のほうが向いていますし、いろいろな場所へ一緒にお出かけして遊びたいご家庭なら、犬のなかでもアクティブな犬種が合っているかもしれません。
逆に、ご高齢で長時間歩くのが大変な方の場合は、元気で若い大型犬や運動量がたくさん必要な犬種は避けたほうがよいでしょう。ペットライフを楽しむには、人もペットも双方が幸せに暮らせるようにすることが大切です。
Q. シニアペットの飼育で特に注意すべき点は?
ずっと飼育していると、いつまでも子どものように思ってしまいがちですが、気づいたらシニア期に入っていた、ということも多いものです。シニアになると、これまで簡単に上っていた段差が上がれなくなったり、必要な栄養バランスが変わってきたりと、いろいろな変化が起こります。
ご自身のペットの状態をよく観察して、必要に応じて段差を上りやすいようにステップを置いてあげたり、シニア用のペットフードに切り替えたりと配慮してあげるとよいでしょう。また、シニアになるとさまざまな病気の症状が出てくることが多くなりますので、健康診断の回数を増やし、こまめに体調をチェックしてあげるようにしましょう。
3. 資格について

Q. 愛玩動物飼養管理士の2級と1級では、学べる内容にどんな違いが?
愛玩動物飼養管理士では、犬・猫・小動物・鳥・爬虫類などさまざまな動物種の習性や飼い方、動物関係法令、動物行動学、人と動物の関係学などを幅広く学びます。そのなかで、2級では基礎的な知識を、1級ではより専門的な知識を学べるようになっています。
| 項目 | 2級 | 1級 |
|---|---|---|
| 受講資格 | 満15歳以上(該当年度4/1時点) | 2級の認定登録者(2級取得が前提) |
| 位置づけ | 基礎的な知識(竹田氏) | より専門的な知識(竹田氏) |
| スクーリング | 9科目(オンライン・オンデマンド) | 7科目(オンライン・オンデマンド) |
| 教材 | 教本第1・2巻+副教材『ペットの飼養管理』ほか | 教本第1・2巻ほか |
| 受講受験料(税込) | 32,000円 | 34,000円 |
| 認定登録料(税込・別途) | 8,000円 | 20,000円 |
| 学習期間の目安 | 約6カ月 | 約6カ月 |
学べる分野
認定試験について
認定試験はマークシート方式の全国一斉試験(試験時間75分)。年2回(11月・2月の第4日曜日)実施され、合格率は例年80%前後です。学習は通信教育が基本で、主要科目はオンライン(オンデマンド)のスクーリングを受講します。
出典:https://www.jpc.or.jp/kanrishi/flow/ ・ https://www.jpc.or.jp/kanrishi/faq/Q. ペット業界で働いていない一般の飼い主が資格を取るメリットは?
毎年、自分のペットを適切に飼育するために勉強したいと申し込まれる方は多いです。近年はインターネットで簡単に情報が得られるようになりましたが、掲載されている情報が古かったり、サイトによって説明が異なっていてどれが正しいのか分からなかったりと、逆に情報が多すぎて混乱している方も多いように感じます。
愛玩動物飼養管理士の学習内容は、獣医師などの専門家で構成される「愛玩動物飼養管理士 認定委員会」で毎年見直しを行い、最新の知見を踏まえて改訂しています。信頼できる最新の情報としてまとめて、安心して学習いただけるのが強みです。ペット関連のボランティア活動をしたいときにも、学んだ知識を活かすことができます。
編集部補足:取得した資格は生涯有効で更新手続きは不要です。「自分のペットのために学びたい」という目的でも、得た知識は日々の飼養管理にそのまま活かせます。
出典:https://www.jpc.or.jp/kanrishi/lp/Q. 資格取得者の活用事例で、印象的なものは?
ペットビジネスを始めたい、自分のペットのために勉強したいという理由で取得される方が多いのですが、友人からペットの飼い方相談を受けるうちにボランティア活動に興味をもち、協会が認定する認定連携団体で活躍している方もいらっしゃいます。
そのほか、観光業に従事されている方が、近年のペットツーリズムの広がりでペット連れのお客様が増え、ペットの知識が必要になったと受講されるケースもあります。ペット業界の方はもちろん、それ以外の方でも、仕事に活かすために資格を取得される方は多いです。

また、ペットショップやトリミングサロン等で配置が義務づけられている「動物取扱責任者」の選任要件としても認められています。
出典:https://www.jpc.or.jp/kanrishi/use/ ・ https://www.jpc.or.jp/kanrishi/4. 社会的な取り組みについて
Q. 被災ペット支援について、具体的な活動事例を教えてください。
協会では、災害が起きたときにペットと飼い主を支援するため、また平時から災害に備えるために、国や地方自治体に協力しています。具体的には、飼い主向けパンフレットの配布や動画教材の提供といった平時からの備えに関する普及啓発活動を行ったり、災害時には被災地の自治体や国に対して、現地のニーズに合わせた支援を行ったりしています。
2024年1月に起きた能登半島地震では、発災直後から現地の自治体などと連携し、現地からの要望に合わせた支援を行いました。また2025年度からは、平時における飼い主への普及啓発や、発災時にボランティア活動のできる人材の育成を目的に、「飼い主とペットのための災害対策指導者研修会」を全国で実施しています。
Q. ペット共生住宅管理士検定を始められた背景と、反響は?
近年、ペットと快適に暮らせる「ペット共生住宅」へのニーズが高まり、こうした住宅が増えています。しかし「ペット共生住宅」と称していても、掃除のしやすさや汚れにくさばかりが重視され、ペットの習性に合わない住宅になっているなど、習性をきちんと理解しないまま作られた住宅も見られるようになりました。
ペット共生住宅が社会に浸透・定着していくには、設備・構造の適正化や飼い主の意識改革はもちろん、ペットに関わるさまざまな分野で、ペット共生住宅を支える人材の育成が必要です。こうした背景から、ペット共生住宅管理士検定は誕生しました。
おかげさまで認知が広まっており、ペット関連産業の展示会で住宅関連ブースの方と名刺交換をすると、多くの方が名刺に「ペット共生住宅管理士」と記載してくださっていて、業務に活用いただけていることが大変嬉しいです。
5. 読者へのメッセージ
Q. これからペットを迎えることを検討している方へ、一言お願いします。
ペットとの生活は、とても豊かで楽しいものです。近年の研究では、犬との生活が認知症の予防に効果があることや、犬や猫との接触が喘息発症のリスクを低下させるという結果も発表されており、ペットが人にもたらすさまざまな効用が明らかになってきています。
その動物の習性や飼い方を学ぶことは、より良い住環境づくりや万全なお出かけ準備といった豊かなペットライフにつながるとともに、災害やトラブルへの備えにもなります。大切なペットと楽しく豊かな毎日を送るためにも、自分にできる学びからはじめて、幸せなペットライフを楽しんでください。
まとめ
今回の取材で一貫して語られたのは、「その動物に合ったケア・食事・環境を、飼い主自身が学んで提供すること」の大切さでした。情報があふれる時代だからこそ、信頼できる情報をまとめて学ぶ価値は高まっています。これからペットを迎える方は、まず"自分のライフスタイルに合う動物種か"を考えることから。すでに一緒に暮らしている方は、シニア期の変化に備えて観察と健康診断を大切にしたいですね。
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よくある質問
Q. 愛玩動物飼養管理士とはどんな資格ですか?
A. 公益社団法人日本愛玩動物協会が認定する資格で、犬・猫・小動物・鳥・爬虫類など幅広い動物種の習性や飼い方、動物関係法令、動物行動学、人と動物の関係学などを学びます。2級では基礎的な知識を、1級ではより専門的な知識を学べます。認定登録者は累計25万人を超えています(2026年4月1日現在)。
Q. 適正飼養で大切なことは何ですか?
A. 「ケア」「食事」「環境」の3つが基本です。動物ごとに必要なケアや食事、飼育環境は異なるため、自分のペットに合ったケア・食事・環境を学び、提供することが大切です。
Q. 初めてペットを飼うとき、最初に考えるべきことは?
A. まず自分のライフスタイルに合った動物種を選ぶことです。留守が長い家庭なら犬より猫、一緒に出かけて遊びたいならアクティブな犬種、というように、人もペットも双方が幸せに暮らせる組み合わせを考えることが大切です。
Q. シニアペットの飼育で気をつけることは?
A. 段差が上がりにくくなる、必要な栄養バランスが変わるなどの変化が起こります。よく観察してステップを置く・シニア用フードに切り替えるなどの配慮をし、健康診断の回数を増やしてこまめに体調をチェックしましょう。
Q. 愛玩動物飼養管理士の受講受験料はいくらですか?
A. 公式情報では、受講受験料(税込)は2級が32,000円、1級が34,000円です。認定登録料(税込・別途)は2級が8,000円、1級が20,000円です。金額は変更される場合があるため、最新情報は公益社団法人日本愛玩動物協会の公式サイトをご確認ください。
Q. 愛玩動物飼養管理士の合格率はどのくらいですか?
A. 認定試験はマークシート方式の全国一斉試験で、試験時間は75分です。年2回(11月・2月の第4日曜日)実施され、合格率は例年80%前後です。
